起こったら命の終わり……「大動脈解離」を防ぐ方法
循環器系の病気はすべて命にかかわる深刻なものです。
ただし、高血圧、狭心症、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、脳溢血、大動脈弁狭窄症、大動脈解離などの病名を並べてみると、緊急度には多少の差があることが分かります。
今回は、最も致死性が高い病名「大動脈解離」について取り上げたいと思います。
血圧が高めな方、生活習慣が乱れている方、何らかの生活習慣病を発症している方はハイリスクです。
病気の診断を受けていない方でも安心はできません。ぜひこの病気の恐ろしさについて考え、備えてください。
大動脈解離とは
・大動脈について
大動脈は心臓に直接つながる太い血管です、その直径は直径3cm から4cmにおよびます。
河川に例えるなら、大動脈が本流。ほかの小さな血管はすべて支流といった具合です。
分岐した先の動脈は直径1mm、0.5mm、0.3mmと細くなっていくので、いかに大動脈が太いか、重要なのかをご理解いただけるのではないでしょうか。
・大動脈解離とはどのような状態なのか
大動脈の血管壁は内膜・中膜・外膜の三層からなり、膜が三重 に張り付いて強度を保っています。
大動脈解離はその中膜 が何らかの原因で剥離してしまった状態のことです。
外側の血管壁がはがれると、当然大動脈は心臓からの圧力に耐えられなくなり、膨れ上がって破裂してしまいます。
三層の解離は1か所で起こると連続的に進行しますので、急性症状で死に至るケースが非常に多い点が特徴です。
大動脈解離を予防する
・循環器系の状態を把握するための検査
突然 症状が起こって死に至る可能性が高い大動脈解離ですから、発症する前の予防が命綱になります。
食事の内容、量、運動習慣、睡眠時間などをコントロールして健康的な生活を心がけ、さらに2年から1年に1回程度の検査で前年からの変化を把握しておくようにしていただきたいと思います。
検査項目としてはCTスキャン、MRI検査、エコー検査などの画像検査を複数行って評価します。
どの検査も侵襲性は低いですが、最も手軽なのが心臓超音波検査(エコー)です。
心臓超音波検査は超音波を胸に当てて、体内の反射 から画像を構成する画像検査です。
リアルタイムで画像を構成していくため、動き続ける心臓のような器官の画像を取得するには最適な方法と言えるでしょう。
・高度な画像検査は人間ドックで受けたい
検査費用も単独で約1万円と高く、超音波検査の所見を裏付けるための他の検査と合わせると1回1回の受診でかなりの費用がかかってくることになります。
大動脈解離を予防するために受診する場合、一度検査を受ければいいというわけではありません。
40代以降は最低でも1年に1回は全身の健康状態を確認するべきとされているので、費用が累積すればその負担はどんどん大きくなっていくのです。
継続して検査を受け続けられるよう、検査をセットにして割安にできる人間ドックの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
人間ドックは必要な検査を組み合わせて3万円程度から受けられる仕組みになっています。
盛り込む検査の内容に応じて費用は高くなっていきますが、単独受診の検査費用を合計するよりは安くなるはずですよ。