【顎(あご)のヘルニア】顎関節症は自覚症状がしにくい!?

コラム

【顎(あご)のヘルニア】顎関節症は自覚症状がしにくい!?人間には、環境に合わせて自分を変える能力があります。
それがいわゆる「順応性」であり、「適応力」と言われる機能で、複雑化した人類の社会に溶け込んで生きるためには不可欠な力であると考えられます。
しかし時としてそのせいで病気や、病気に至る症状の発見が遅れることがあることをご存知でしょうか。

例えば、顎関節症です。顎関節の動きが狭まったり、食事の際に痛みを伴ったりするようになるのが顎関節症という病気です。
なぜ気が付きにくいのか、人間の持つ順応性がどうして顎関節症を覆い隠してしまうのかご紹介しますので、ご自分の関節について意識するきっかけになさってください。

顎関節症の自覚について

・顎関節症の自覚症状

口を開閉した際に「パキッ」「カクッ」「ゴリッ」「ジャリッ」などという音がする。
顎がだるい、口があまり開かない、痛みがある、慢性的な頭痛があるといった症状から病院を訪れ、顎関節症と診断されるケースが多いと言われています。

しかし、最初から顎関節症を疑って病院を受診する方は少ないようです。
硬いものを食べると顎を中心として痛みがある。口をまっすぐ開けない。
指三本を縦に並べた幅まで口を開けない。口を開閉したときに顎から異音がする。この4項目が、日本顎関節学会が指導する顎関節症のチェックリストです。

・症状に「適応」してしまうために発見が遅れがち
こうした異常は普通ならば起こらない現象なので、誰でもすぐに気付けるのではないかと思われるでしょう。
しかし、関節の変化は徐々に表れてくるもの。人はゆるやかな変化に適応しつつ、口が開きにくくなればその分だけ「口を開かなくていい」よう、無意識に工夫しながら生活してしまうのです。
無意識だからこそ、本人は関節の支障をなかなか自覚できません。早い段階で顎関節症に気付くためには、このような病気があることを念頭に置いて生活する必要があります。

顎関節症と検査の必要性

・顎関節症の罹患率

日本人の顎関節症罹患率は成人のおよそ46%とされています。
顎関節の意識調査では「顎の痛みを自覚している割合」は2007年時点で約5%、2008年では約20%にとどまり、リスクを抱えている人口に対する意識の低さが浮き彫りになりました。
関節の病気は自覚のない患者ほど悪化させる行動をとりがちです。
治療の第一歩は病気を自覚することですから、「自分は大丈夫」と思わずなるべく多くの方に適切な検査を受けることをおすすめしたいと思います。

・顎関節症の検査

顎関節症の診断は消去法で行われるので、全身症状の確認から顎関節の検査へ進んでいきます。
顎関節症の可能性が濃厚である段階で特に重要な項目が画像検査です。
CTスキャンやMRI検査が行われるのですが、どの段階の顎関節症であるのか確認するために最も役立つのがMRI検査です。
水分を含む組織が磁気に共鳴する特性を生かして立体画像を得る検査法、顎関節に炎症があるかどうかはっきり診断できます。
軟骨腫症や口腔がんなどといった別の疾患との鑑別が難しい際にもMRI検査が有効です。

顎関節症の自覚について
CTスキャンもMRI検査も経験がないという方は多いでしょう。
これらの画像検査は人間ドックではおなじみの検査項目ですが、非常に高価な検査機器を用いるため単独でも万単位の費用がかかります。
複数の検査と合算すればかなりの金額になるうえ、関節の変形性疾患となれば定期的に受診しなければなりません。
費用や待ち時間の負担を軽減する方法として、人間ドックでの検査受診をおすすめします。
ぜひ希望の予算やスケジュールを医師に伝えて相談してみてください。

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