悪化した顎関節症……関節が変形していると全身に影響も?
顎関節症(がくかんせつしょう)という症状をご存知でしょうか?
名前を聞いたことがあっても、詳しい症状は知らないという方も多いでしょう。
また、症状が分からない限りは「自分は関係ない」と思いがちですが、実は日本人の2人に1人が経験していると言われるほど頻発しているものなのです。
なかなか自覚できない顎関節症は、障害が固定化するほど悪化してから発覚するケースもあります。
それから治療するのでは手遅れになる場合もあるので、ぜひ顎関節症の恐ろしさを知って備えるようにしてください。
顎関節症の恐ろしさとは?
・顎関節症が悪化するとどうなる?
顎関節症は、最初は顎関節の軟部組織の障害として現れます。
「顎」という関節は全身のなかで最も特異的な関節で、関節円板という軟部組織が可動性を維持する役割を担っているのですが、可動性があるということはすなわち「ずれやすい」ということでもあります。
関節の接続部位がゆるやかな結合であるために起こる症状だと考えていいでしょう。
症状が悪化すると関節円板のずれが固定化し、関節円板と関節窩の炎症、摩耗、変形がどんどん進行していくわけです。
骨と神経は全身につながっており、最終的には神経障害、精神疾患、発語障害などに発展する恐れもあります。
・なぜなかなか自覚できないのか
顎関節症をなかなか自覚できないのは「噛む」という動作が日常的であるためと考えられます。
また、無意識に歯をくいしばる、歯ぎしりするといった行動も起こりがちで、そもそも顎に負担をかける行動を「意図して行っていない」点も大きく影響しているようです。
家族などから就寝中に歯ぎしりしていたと指摘された経験がある方は、マウスピースを利用するなどの対策を講じるといいかもしれませんね。
顎関節症と医学検査
・顎関節症の検査
顎関節症の治療は口腔外科の領域ですが、検査であれば内科や外科など、全身を診る診療科でも診断を受けられます。
受けるべき検査項目は問診や触診、口腔内検査、MRI検査、CTスキャンなどで、予防的な意味で調べるのであればCTスキャンを盛り込むといいでしょう。
問診の際に顎関節症を心配している旨を伝えるようにしてください。
CTスキャンはエックス線画像撮影を連続的に行い、身体の内側を立体的に捉える検査項目です。
1枚の画像は単純レントゲン撮影と同様ですが、高い撮影密度によって非常に細かく体内の状態を診断できる高度な画像検査です。
・検査は定期的なスパンで受けよう
変形を伴う関節症は、定期的に状態を確認して発症しているかどうかをチェックし、発症しているとしたら症状の進行度合いの確認をしなければなりません。
検査を受けて顎関節の変形が確認されれば、そのほかに炎症の有無を調べる検査なども必要になるはずです。それぞれの検査を単独で受ければその都度通院し、待ち時間が発生します。
この負担を軽減するには人間ドックが便利です。
状況に応じて検査項目を追加でき、顎関節症の発症が確認されれば治療開始までそのまま進められます。
人間ドックは、2年に1回から1年に1回程度の受診スパンが推奨されています。費用や検査項目については希望に応じて設定できるので、要望をまとめて医師に相談してみるといいでしょう。
なお、人間ドックでは検査を単独で受けるよりも総合的な費用が優遇されるので、少しでも効率的に健康状態を確認したいという方におすすめです。