酒飲み注意! 夜更かし好きは定期的なCTスキャンをした方がいいかも
アルコールは人間関係の潤滑油、あるいは百薬の長ともいわれますが、それは「ほどほどであればこそ」です。
適切な容量を超える飲酒は百害あって一利なし。いわばアルコールは万病のもとなのです。
日ごろから晩酌の習慣がある方、宴会好きな方、自分はアルコールに強いと自負している方ほど、いつのまにか病気が進行しているものです。
飲酒に危険性があることを知っていてもやめられない。そういう場合には、定期的に病院で検査を受けて臓器の健康状態を把握しておくことをおすすめします。
アルコールと病気
「飲みすぎ」が原因になる病気
がん、脳卒中、心臓病、糖尿病、肝臓病、急性すい炎、認知症など、現代でも治療が困難である病気の数々がアルコールとの関連性を指摘されています。
特に近年研究が進められている分野がアルコール性認知症です。飲酒によるビタミンB1欠乏や脳血管障害が認知症の原因になるというのが通説でしたが、「実はアルコールそのものが脳を萎縮させるのではないか」と考えられるようになりました。
なぜ飲酒で病気になるのか
アルコールは本来身体に必要ない成分で、通常の食品には含まれていません。摂取した際には優先的に肝臓で分解されるのですが、日常的に多飲していると特に深刻な負担を受ける肝臓が病気になりやすくなります。
アルコールを優先的に分解するということは、本来の役目である脂肪の分解が後回しになるということです。それゆえに脂肪肝になり、脂肪肝からの肝硬変、あるいはアルコール性肝炎、肝がんのような経緯をたどるのです。そして、やはり肝臓同様に負担が大きなすい臓の病気。アルコール性急性すい炎、慢性すい炎、すい臓がんなどがあり、さらにアルコールの分解で消費された栄養素の欠乏から起こる認知症のような病気、アルコールそのものが引き起こす病気が枝葉を広げ、無数のリスクが地雷原のごとく全身におよぶというわけです。
病気の検査
飲酒による病気とCT検査
脳の萎縮など、臓器の変形をともなう病気に対してはCT検査が有効です。CT検査はエックス線の連続断層撮影による立体的画像診断であり、例えば頭部の撮影であれば頭蓋骨と脳の隙間がどうなっているか視覚的に診断できます。腹部などのCT検査では骨や他の臓器が邪魔になって、目的の臓器がよくわからなくなってしまうケースが多いのですが、頭蓋骨は脳を包む袋のような構造になっているため、エックス線撮影によって診断しやすいのです。正常な脳では脳の中央部の穴や脳の外側の溝はごくわずかなもの。しかし、アルコール性認知症患者の脳は脳中央部に空洞が広がり、さらに脳の外周にも深い溝ができて脳の体積が縮小していることが分かります。原因が飲酒だけとは限りませんが、認知症を発症しているかどうかの判定には極めて高い有効性を発揮します。
CT検査は人間ドックで
通常は病院でCT検査を受けると、それだけで2万円程度の費用が必要です。これに血液検査やその他の基礎検査、脳ドックとしては単純頭部CT検査と造影CT検査を併用するのが一般的で、さらに確定診断などを合わせると合計で10万円を超える可能性もあります。しかも検査をひとつずつ予約していくとそれぞれに待ち時間が生じ、病気の可能性が高い方でも治療開始まで数週間から数か月待たなければならないという事態も起こり得るのです。人間ドックは基礎検査から確定診断、治療開始までを一連の流れで一気に受けられる唯一の方法です。費用も合算でかなり安くなりますので、飲酒習慣がある方はぜひ1年から2年に1回は受けるようにしてください。
CT検査は設備のある病院ならばどこでも受けられます。まずはどんな内容の検査を受けられるのか、どんな検査を受ければアルコールによる病気に備えられるのか、お心当たりの病院までお気軽に問い合わせていただきたいと思います。