人間ドックの「MRI検査」項目を選べる人・選べない人 MRIの注意点
「MRI検査」は、レントゲンやCTでは検査できない“骨に囲われた”体内の様子を画像化できる検査項目です。安全性に優れた検査ですが、この項目は誰でも選べるわけではありません。
受診する方の希望や必要に応じて検査項目を組み合わせる人間ドックであっても、MRI検査の項目には、「選べる人」と「選べない人」がいるのです。両者の違いはどこにあるのでしょうか?
今回は人間ドックでも需要が高いMRI検査について、検査項目を「選べる人」「選べない人」の違いをご説明します。
MRI検査が有効な病気とは?
●MRI検査はどんな病気の時に行う?
MRI検査をはじめとした画像検査は数多く存在しますが、これらは検査の目的や病気の種類によって使い分けられます。
「レントゲン検査」「CT検査」など、エックス線を使用して臓器を透過する検査は一般検診でもよく使われます。しかしエックス線は骨を透過しないため、“骨に囲まれた内臓や骨の裏側”の様子を造影することはできません。
一方「MRI検査」では磁気を使って体内の様子を撮影するため、頭蓋骨の内部や軟骨部、靭帯なども画像化することができます。このため内臓脂肪やじん帯、血管、末梢神経など“骨の内側にある”軟部組織の病気を検査することができるのです。
●罹患率が高い病気
MRI検査で調べられる病気の中で致死性の高いものとしては、脳梗塞や脳動脈瘤といった「脳血管疾患」が挙げられます。
脳血管疾患は政府統計による「日本人の死因」トップ5に長年ランクインし続けている病気でもあります。
またMRIの特性を利用すれば、骨の病気である「骨軟部腫瘍」「椎間板ヘルニア」、怪我の中で見落とされやすい「半月板損傷」も調べられます。もちろん筋肉組織の断裂も画像化できるので、スポーツ選手や運動をする方にとっても有意義な検査と言えるでしょう。
MRI検査と人間ドック
●MRI検査を選べる人と選べない人
非常に便利なMRI検査ですが、この項目には選べる人、選べない人が存在します。その理由は、MRI検査の詳細な仕組みを知れば明らかです。
●MRI検査とは
MRI検査では磁気共鳴装置によって体内に働きかけ、水分を多く含む器官を断層画像化します。
その特徴は軟部組織を画像化できるところ、放射線被ばくが起きないところです。エックス線による断層画像検査であるCT検査などと比較すると検査時間は長くなります。
この仕組みからわかるように、「磁気を乱す要素があるとMRI検査は受けられない」ということになります。例えば骨折治療でボルトを使用している方、歯列矯正で金属の矯正器具を使っている方などが「MRI検査を選べない人」に該当します。
●MRI検査を受けるなら人間ドックで
MRI検査を単独で受診する場合、東京都内の病院では2万円から3万円という価格が一般的です。医師の指示で検査を受ける場合、すでに診断された病気治療の一環であれば保険適用となるので、自己負担額は1割から3割程度です。
ただし、予防のために利用するのであれば全額自己負担となります。費用的に効率よく受診するためには、人間ドックでほかの検査と“組み合わせ受診”することをおすすめします。
MRI検査を含む脳ドックは4万円台から受けられます。
検査項目は必要に応じて選べるほか、医師と相談して費用の上限を決めて組み合わせるという方法も可能です。どのように受診するのかも自由ですので、ぜひ担当の医師と相談して受けたい検査や必要性に応じたプランを立ててみてください。
病気は発症してしまうと、長く治療し続けなければならないケースもよくあります。
「健康」を維持するには、病気を発症しないために、定期的な体調確認が欠かせません。ぜひ定期的な人間ドックの受診を検討していただきたいと思います。