頸動脈疾患のリスク 対策となる血管の人間ドックの検査項目・内容
人間の体内には、総延長9万キロメートルとも10万キロメートルとも言われる血管が網の目のように張り巡らされています。血管網の役割は栄養や酸素の運搬と供給、そして排出です。健康を維持するためにはこの機能が正しく働き続ける必要があります。
政府統計による日本人の「死因順位」を見ると、第2位に「心疾患」、さらに第4位には「脳血管疾患」が挙げられており、血管や血液循環の健康を保つことのむずかしさがお分かりいただけるのではないでしょうか。
今回は、血管の中でも特に重要な「頸動脈」の病気についてご紹介します。ご自身の身体にどんなリスクが潜んでいるのか知る参考にしていただければ幸いです。
頸動脈はどんな疾患があるのか? リスクを知ろう
●知っておきたい頸動脈疾患の名前
頭部に血液を送る頸動脈の疾患は、「CAD」と総称されます。頸動脈は体内で最も太い血管の一つなので、ここに何らかの障害が起これば脳卒中や脳梗塞など「脳血管疾患」に発展する恐れもあるのです。
●頸動脈疾患ではどんな症状が起こる?
頸動脈疾患の多くは動脈硬化症や高血圧、高脂血症、糖尿病などの症状として現れると考えられます。高血圧や高血糖などによって傷ついた血管壁にプラークが蓄積してしまい、血液がスムーズに流れなくなってしまう症状です。
軽度の場合はほとんど自覚できる症状はありません。
重度の頸動脈疾患では、脳に血が行き渡らなくなる「虚血性発作」を伴うようになるでしょう。このようなケースでは、体の片側に起こるしびれ、脱力感、言語機能の混乱、失調、めまい、視力障害、激しい頭痛、顔面麻痺などが関連症状として起こることもあります。
頸動脈疾患が疑われたら検査を受けよう
頸動脈疾患ではまず医師のカウンセリングを受けたのち、超音波検査や造影検査を行います。特に有用なのは「頸動脈超音波検査」です。
●頸動脈超音波検査
「頸動脈超音波検査」はその名の通り頸動脈のエコー検査のこと。手軽に血管の状態を可視化できる検査項目として実施されています。
検査のやり方はごく簡単。仰向けに寝そべった患者の首に医療用ゼリーを塗り、超音波を発する端子を当てるだけで頸動脈の状態がわかります。
検査は単独で受ける? 人間ドックで受ける?
頸部超音波検査だけを単独で受けることも可能です。ただし、もし本格的に健康リスクを把握したいというのであれば、やはり全身の状態も確認したほうがいいでしょう。
検査は単独で受けるよりも、関連疾患も併せて確認できる人間ドックで受診するほうが効率的です。どんな項目を組み合わせるかは担当医師と相談した上で決めてください。
検査の実施機関によっては、頸動脈エコーを含む人間ドックのお得なコースを用意しているケースもあります。医師と相談する前に、ある程度予算や不安点をまとめておくと安心です。
どんな不調があるのか、検査にどれくらい時間をかけられるのか、また、予算の上限はいくらなのかなど、メモを作っておくことをおすすめします。