人間ドックの項目にある「ピロリ菌検査」って何するの?
ピロリ菌とは、胃の中に寄生して病気のもととなる病原菌の名称です。日本人は世界的に見て比較的感染率が高いとされており、胃がん、十二指腸がんなどの有病率との因果関係が指摘されています。
一般的な風邪や流行性感冒の場合は、感染部位が上気道であるため検査は簡単です。では、胃の内部にピロリ菌が存在するかどうかはどのように調べるのでしょうか?
ピロリ菌検査はどうして受ける必要があるのか
・ピロリ菌に感染すると何が起こる?
ピロリ菌は正式名称を「ヘリコバクター・ピロリ菌」と言います。胃の中で強力な酸性の胃酸に触れても溶けないよう、尿素をアルカリ性のアンモニアに変性させる能力を持っているため、胃の中でも生き続けられるのです。
感染のある胃や腸では炎症が起きやすくなるので、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんなどに罹りやすくなるでしょう。
・日本人のピロリ菌感染率
最新のがん統計(2017年1月21日時点)によると、2014年のがん死亡順位は大腸がんが2位、胃がんが3位です。2012年の罹患数順位では大腸がんが1位、胃がんが2位でした。胃がん・大腸がんリスクは男女ともにすべての年齢層に共通しています。
胃がんや十二指腸がん患者のうち9割以上がピロリ菌の保有者だと目されており、ピロリ菌検査の必要性は明らかです。なお、日本人のピロリ菌感染率は年代によって異なります。30歳以下では25%程度。50歳以上では70%以上とも。
ピロリ菌感染の有無以外にも病気発症の原因は存在します。しかし、ピロリ菌検査と除菌ががんリスクを引き下げる手段であることは事実です。
人間ドックの「ピロリ菌検査」は何をするのか
・人間ドックで受けられるピロリ菌検査の種類
ピロリ菌検査の種類は大きく分けて「呼気検査」「血液検査」「内視鏡検査」「便検査」の4種類です。それぞれ、少しだけ詳しく見てみましょう。
・呼気検査
尿素の入った薬を服用したのちに、呼気中の尿素濃度を測定する検査。体への負担が少ない方法のひとつです。
・血液検査
採血によってピロリ菌抗体の有無を調べる検査。患者は採血を受けるだけですが、血液を取るので受診後は体をいたわるようにしてください。
・内視鏡検査
ピロリ菌検査の内視鏡検査はすでに炎症性疾患が起こっている方に適しています。感染が疑われる部位の細胞を採取して行う検体検査。治療方針を具体的に検討する際にはこちらを推奨されるはずです。
・便検査
便を採取して行う抗原検査です。比較的新しい検査方法で、まだ改善の余地がある手法と言われています。
・なぜ「ピロリ菌検査」は人間ドックがおすすめなのか
ピロリ菌検査は単独でも受診できますが、胃がん、大腸がんの原因はピロリ菌だけではありません。この検査で陰性だったとしても、完全な健康体であるという証明にはならないのです。
そこで、ピロリ菌検査を受ける際にはほかの検査を組み合わせられる人間ドックをおすすめします。通常の健康診断では手が届かない領域まで詳しく調べられるので、重大な病気の早期発見や予防には有意義だと考えられます。
ピロリ菌関連疾患に対する専門知識をもつ「日本ヘリコバクター学会」の認定専門医は東京都の場合336人。神奈川県94人。埼玉県47人。千葉県50人と偏りがあります。
人間ドックの受診を考えている病院に認定医がいるかどうかは事前に確認しておくことをおすすめします。