子供の成長が遅いかも……? 成長ホルモンの分泌異常を調べる
人間ドックを受診する一般的な年齢層は35歳以降です。多くの検査項目が20歳以上を対象としているのですが、20代前半で病気が見つかるケースは比較的少ないと言います。そのため各種健康保険組合が助成対象とする年代は35歳以上、あるいは40歳以上とされており、20歳以下で人間ドックを受診する事例は稀だと考えていいでしょう。
しかし、実際には子どもであっても人間ドックが必要な場合もあります。
お子さまがいらっしゃるご家庭では親がその判断を下さなければなりませんので、どんな状況で子どもにも人間ドックの受診が推奨されるのかご紹介します。ぜひ参考になさってください。
子どもの状況判断の指標
・子どもの成長を見守るための「基準」について
小児に発生する病気などの異常は数々ありますが、一見健康であるのに実は問題を抱えているという子どももいます。例えば低身長です。
低身長は発達以上の一種で、性別によって年齢に対応する身長の基準が定められています。
平成12年度に厚生労働省と文部科学省によって抽出された平均値から導き出された基準です。それによると、女子の場合は3歳で87.9センチ。男子の場合は3歳で86センチが低身長の目安なのだとか。半年刻みで低身長の目安が提示されていますので、子育て中のご家庭ではこまめな身長測定を行って成長を見守るようにしましょう。
・低身長が現れた際の可能性
子どもの成長が低身長の目安に該当する場合、成長ホルモンの分泌異常の可能性が考えられます。ホルモン分泌異常の原因疾患があると考えられますので、まずはホルモン値が正常であるかどうか調べ、そこから原因疾患の特定に進むことをおすすめします。
原因疾患の種類によっては小児慢性特定疾患などの対象となり、国から治療の補助を受けられるので、積極的に検査を受診してください。
子どもが人間ドックを受診する際の注意点と検査
・子どもと人間ドック
成人の場合人間ドックのメインはレントゲン(単純エックス線画像診断)やスライス画像診断(CT検査)、MRI検査などによる視診ですが、子どもの場合はエックス線を使用するリスクが大きいので、まずは血液検査や尿検査によるホルモン値測定から進めていきます。疾患の存在する部位がある程度特定できた後に、最小限の画像診断を行う流れです。
・人間ドックを子どもが受診する際に受けるべき検査
・成長状態の測定
低身長の目安と照らし合わせて成長障害の度合いを測ります。子どもの身長偏差値は男子3歳の平均値である93.3センチで3.5、低身長の目安である86.4センチで身長偏差値マイナス2SDと評価されます。ただし、マイナス2SDという条件を満たさなくても2年間に渡って成長の遅滞が認められる場合にも低身長と判断するべきです。
・血液検査
血中成長ホルモンの測定は早朝の空腹時に行います。成長ホルモンは睡眠時に最大量になるため、起床して朝食を取る前、30分以上安静にしてから血液の採取を行います。
・尿検査
尿検査もまた起床直後に行います。ただし、24時間蓄尿する場合もあるので1泊の検査入院が必要になる可能性が高いと考えてください。
・成長ホルモン分泌刺激試験
低身長症の診断基準には成長ホルモン分泌刺激試験の記載があります。薬品を投与して脳下垂体を刺激する試験で、負荷対象はインスリン、アルギニン、L-DOPA、クロニジン、グルカゴンなど。それぞれ負荷をかける時間の長さが異なります。
このほか骨年齢の測定なども診断方法のひとつです。
子どもの成長は15歳から17歳で止まってしまうので、成長障害の対応には早期発見が何よりも大切です。必要に応じて人間ドックを受診できるよう、日ごろからお子さまの様子をよく観察して同年代の基準と比べるようにしましょう。
ただし、ある程度の差異は個性のうちですから、過剰なコンプレックスにならないように注意していただきたいと思います。