甘く見てはいけない! 早期発見が肝心の「糖尿病」の恐ろしさ

コラム

日本人は欧米人に比べて糖尿病になりやすいと言われています。実際に糖尿病の患者数はこの20年で激増しており、治療を受けている糖尿病患者は316万6,000人(平成26年度国勢調査より)に上ります。
70歳以上の男性では4人に1人が。60歳以上の女性では6人に1人が糖尿病の「有病者」という割合です。
成人の糖尿病有病者数で、この結果をもって日本は世界第9位にランクイン。第1位である中国の1億960万人には遠くおよびませんが、母体となる国民総数から考えると、決して糖尿病の有病率が低いとは言い切れません。

糖尿病の広がりには症状を自覚しにくいこと、糖尿病の恐ろしさの実感がまだまだ薄いことなどが影響していると見ていいでしょう。糖尿病はどのようなリスクを持っているのかご紹介します。

糖尿病そのものに起こる症状と悪化の順路


・糖尿病の初期症状
自覚する手がかりになる症状については「口の渇き」「尿量増加」「体重減少」「過食」「体力減退」「疲れやすさ」「だるさ」「満腹時にも続く空腹感」などに加え、尿のにおいや色味の変化が起こるケースも。
糖尿病になると尿中の糖が増えるので、尿から甘いにおいがするという患者が多いようです。

・悪化の過程で起こってくる症状
インスリン不足による糖代謝不全が起こるようになってから初期症状が始まります。そこから悪化する過程で初期症状がより強く出るようになっていきます。それに加えて消化器異常や、けいれんなどの神経症状や意識障害、呼気や体臭が甘酸っぱくなる。呼吸のペースが深くゆっくりなものになるなどの変化が起こります。
最終的には昏睡に至ります。

糖尿病で恐ろしい合併症のリスク

・糖尿病で起こる合併症
糖尿病には「三大合併症」と呼ばれる合併症があります。「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」の3つ。
もともと糖尿病自体が「サイレントキラー」とされる静かなる病魔なのですが、糖尿病の合併症のうち3つ目の「糖尿病腎症」は腎臓病の側面から見た「サイレントキラー」でもあります。
本人が無自覚のうちに命を蝕む非常に危険な病気です。いったん発症すれば根治は難しく、長く病気と付き合っていくことになります。

・命に関わる症状
「糖尿病神経障害」
糖尿病から神経障害へのメカニズムはまだ研究の途上ですが、末梢から感覚が失われていくため怪我のリスクが高まることは確実です。傷を放置した結果感染症を起こしたりして、そこから手足の切断に至るケースが少なくありません。
「糖尿病網膜症」
糖尿病によって網膜の血管が損傷を受けやすくなり、失明リスクが高くなります。糖尿病の発症から10年以上の患者で多発している合併症です。
「糖尿病腎症」
糖尿病腎症も血管の損傷から起こります。腎臓の濾過機能が失われるため、人工透析が必要になります。

糖尿病の検査は人間ドックを受けるべき

・糖尿病の自覚の難しさ
糖尿病の初期症状は大変薄く、また、徐々に悪化してくためになかなか自覚できません。気付いた時にはかなり進行した状態だったというケースが多いのはそのためです。
糖尿病の発見は健康診断の血液検査や尿検査でも可能性がありますが、予防や発病後のより詳細な病態の把握には人間ドックが欠かせません。
少なくとも健康診断の範囲では健康な状態の方へ何かしらの処置を促すことはありませんし、また、発病後のケアもその目的ではないからです。

・人間ドックの糖尿病検査
人間ドックでは基本の検査内容に加えて糖尿病検査として「糖負荷試験」や「インスリン測定」を行います。無自覚の方にも必ず結果をもたらす項目ですので、「自分は大丈夫」と思っている方もぜひ人間ドックを定期的に受け、糖尿病の予兆から気付くようにしてください。

関連記事一覧