健康診断でアレルギーって診断できるの? 人間ドックが必要な理由

コラム

健康診断には、「これだけは絶対」として定められている検査項目があります。社会人向けとして労働安全衛生規則に盛り込まれた項目にはアレルギー関連のものが少なく、日本人のアレルギーリスクが上昇している現状から考えれば不十分だと言わざるを得ないでしょう。
それこそが、人間ドックが選ばれる理由なのです。

■基本的な健康診断検査項目と追加できるアレルギー検査

・労働者を企業が雇い入れる際に求められる健康診断項目
 ・健康状態の確認(既往症や生活習慣、治療歴などについて)
 ・自覚症状や他覚症状の確認
 ・身体測定(身長、体重、胸囲、視力、聴力など)
 ・胸部エックス線
 ・貧血検査(血中赤血球数、血色素量による測定)
 ・血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)
 ・血圧測定
 ・尿検査(尿中の糖、タンパク検査)
 ・肝機能検査(GOT/GPT/γ―GTP)
 ・心電図
 ・血糖検査(主に空腹時血糖だがヘモグロビンA1cでも可)
これらはいずれも「臓器が正しく機能していること」を確認する検査で、各種数値の異常から病気が発覚するケースも確かにあります。しかし、特殊な病気やアレルギー疾患についてはカバーできていません。もしも通常の健康診断でアレルギーの可能性を指摘されるとしたら、問診の聞き取り調査の項目くらいだと考えられます。

・健康診断に追加できるオプションのアレルギー検査
健康診断でもオプションを追加可能であればアレルギー反応を確認できます。
一般的にアレルギー検査の第一段階は血液検査です。血液スクリーニングとも言います。血液スクリーニングではアレルギーが疑わしい項目をピックアップするのですが、健康保険の制限では1度に選べる項目数は13種類まで。
ただし、「MAST-33検査」「Viewアレルギー39」については選択項目を動かせない代わりに33種類、あるいは39種類を一度に検査できます。優先度の高い組み合わせなので、よほど特殊なアレルギーでない限りは結果に期待できるはずです。

■血液スクリーニングは健康保険が適用されない場合がある

・血液検査のアレルギー項目
血液検査で調査可能なアレルギー項目は180種類以上もあるので、疾患として認められるほどのアレルギー反応がない場合など、完全自費診療で検査せざるを得ない場合には非常に高額な費用が必要になってしまいます。
1項目につき110点に判断料144点が加算されて約760円かかるとして、健康保険内とされる13項目以内なら3割負担、それ以上ならば自費診療、セットの「MAST-33検査」「Viewアレルギー39」については約4,800円です。
これらの検査ではいずれも血中タンパク質のひとつであるIgEの量を通してアレルギーの原因物質を特定し、反応の度合いを調べます。
IgE検査以外の方法では炎症反応の原因物質である「ヒスタミン」の量から判断する「ヒスタミン遊離試験(HRT)」があります。HRTは5項目のセットです。

・人間ドックのアレルギー検査が必要になる場合
アレルギー疾患発症の予兆があれば健康診断でも問診で不調を訴え、本格的な検査を実施できるでしょう。または、自分の意思でアレルギー検査を追加できるかもしれません。
しかし、残念ながらアレルギー疾患の発症は多くの場合急激な炎症症状などに発展して自覚および他覚に至るのです。たとえ予兆があったとしても、はっきりしたものでない限りは自費診療の範囲になってしまいますし、通常の健康診断やオプションの範囲では検出できない項目が多いので、特殊なアレルギー疾患とその原因物質の特定に対しては不十分と考えられます。

■人間ドックならではの組み合わせアレルギー検査

・自由に検査項目を組み合わせられるのは人間ドックだけ
個別の状況や体質に合わせて検査項目を自由に組み合わせられるのは人間ドックならではです。一般の健康診断のオプションでは行き届かない詳細な検査が、人間ドックならば可能になります。

・組み合わせたい試験と検査
血液検査だけではアレルギー反応を確定できない場合、実際に食品を食べて負荷をかけ、反応を確認する「食物負荷試験、除去試験」や、呼吸器の反応を見る「呼吸機能検査」を組み合わせることができます。
それぞれ基本的には入院が必要なのですが、実際に医師の管理下でアレルギー反応の深刻度を測れるので、生活に支障をきたすようなアレルギー症状に悩む方や、アレルギー疾患の改善を目指す方には非常に有効な方法となるはずです。
人間ドックでこれらを組み合わせる際には医師と綿密に相談しましょう。

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