結核は侮れない!知っておきたい感染時の症状

コラム

人間ドックでは肺の検査を受けることもできますが、実はそのときに結核にかかっていると診断されるケースが増えています。
なぜ最近になって結核の患者数が増えているのでしょうか。
結核という病気について、今一度考え直してみましょう。

結核とは?

結核は結核菌によって引き起こされる感染症で、感染初期は咳や痰、発熱などの風邪とよく似た症状が引き起こされます。
さらに重症化するとだるさや息切れ、血の混じった痰などの症状が出始め、喀血や呼吸困難を起こして死に至ることもある怖い病気です。
日本では明治から戦前にかけて大流行し、「亡国病」と呼ばれるほど多くの人が苦しんできましたが、戦後になって治療薬や医学研究が進み、結核を予防するBCGが徹底された今では、結核病は撲滅した感染症だと思っている人も多いかもしれません。

しかし世界的には開発途上国を中心に結核の感染者はまだまだ多く、感染症の中ではHIVの次に死者が多い、毎年130万人もの尊い命が結核によって失われています。
そんな結核が今再び日本で流行を始めており、日本の結核罹患率は同じ先進国であるアメリカやドイツなどと比べて、約5倍も感染リスクが高いといわれているのです。

■ 現代日本の結核の特徴とその症状

かつて日本で流行していた結核は、患者の年齢や場所を問わず感染・発症する死の病でしたが、現代日本で流行の兆しを見せている結核には、高齢者を中心に都市部で広がっているという特徴があります。

結核には
・一次結核…感染後すぐに発症する初感染結核症
・二次結核…感染してから長時間経過した後に発症する既感染発病

の二種類がありますが、若者が多く住む都市部は外国人の居住も多く、結核菌に感染した旅行者が多く訪れる分、感染リスクが高い状態になっています。
長らく忘れ去られていた感染症であるだけに若い世代は結核菌に対する予備知識がなく、結核を発症しても風邪と混同したまま周りに感染を広げやすいので、結核は都市部を中心に爆発的に広がってしまうおそれがあります。
また、結核の中でも繰り返し発症して重症化する厄介な二次結核は高齢者に多く、日本は少子高齢化が進んでいて高齢者が多いだけに、体力が落ちてきた高齢期に発症する結核は死に至る重篤なケースが増えています。

■ 結核を発症しやすい人

結核は次の条件の人に発症しやすいといわれているので、自分や家族が該当する場合には特に注意をする必要があるでしょう。

・児童や高齢者
・乳幼児
・HIV感染者
・糖尿病や胃潰瘍などの生活習慣病を治療中の人
・副腎皮質ホルモン剤、抗癌剤を服用している人
・喘息などの呼吸器系の基礎疾患のある人
・ヘビースモーカー
など

■ 結核は予防が大事!疑わしい時は受診しよう

結核は感染した人の咳やクシャミなどで広がる感染症です。
ただし予防ができる病気なので、普段から外出先から帰った時や食事の前には手洗いをし、不特定多数の人が集まる人込みではマスクをするなどしてしっかり予防をしましょう。

万が一、結核に感染して発症しても、必要以上に不安になる必要はありません。
肺炎などを併発して症状が重症化した場合には入院治療が必要ですが、基本的には治療薬をしっかり服用すれば治りますし、周囲へ感染を広げることもありません。

検査方法も進んでいて、人間ドックで一緒に受けられる肺のX線検査や痰などの菌の検査で感染の確認はすぐにできますし、身体に負担もかかりません。
普通の風邪は3~5日程度で回復しますが、2週間以上咳や微熱が続いている場合には、結核を疑って積極的に病院を受診して確認をすることをオススメします。
結核の特徴や症状を正しく理解して、まずは家庭から結核を予防していきましょう。

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