人間ドックを知ろう! 腹部超音波検診の方法とその目的
健康診断では実施されない、人間ドックならではの検査項目に「腹部超音波検診(エコー)」があります。超音波(エコー)を発する機器を用いた画像診断のことですが、この検査によって何が分かるのでしょうか?
つまり、何か気になる症状があればその原因を突き止め、異変の実態を明らかにすることを目的として行うのです。
そのため、健康診断では全身で8から15項目程度しか検査項目がありませんが、人間ドックでは最低でも45前後からの検査項目数があります。
健康診断では実施されない「腹部超音波検診」についてご紹介しましょう。
腹部超音波検診について
「腹部超音波検診(エコー)」では、お腹の外側に超音波を発する機器をあてがい、お腹の内側を画像にして視認します。機器をあてがう際に目的の部位にゼリーを塗布するので、冷たかったという感想を持つ方が多いようです。
レントゲンと同じように「見えない場所を画像化」する検査ですから、通常の問診などではわからない小さな腫瘍などの発見も可能にするという重要な意味を持っています。
腹部超音波検診では主に肝臓・胆道・膵臓といった部位を観察します。そこから発見される可能性がある病気については以下に一部をピックアップしますので、参考になさって下さい。
■ 肝臓
・ 肝血管異常
・ 肝血管腫
・ 脂肪肝
・ 肝腫瘍
・ 肝腫瘤
・ 肝内石灰化
・ 肝内胆管拡張
・ 肝内胆管結石
・ 肝嚢胞
・ 肝嚢胞性腫瘍
・ 気腫
・ 慢性肝障害
内臓の中にも血流を確保するための太い血管が縦横無尽に張り巡らされています。肝臓の場合は「肝動脈」「門脈」「肝静脈」の3種に分けられ、栄養、酸素の循環を助け、その活力を維持しているのです。
エコーではこの血管の状態も診断します。
■ 胆臓
・ 胆管拡張
・ 胆管気腫
・ 胆管結石
・ 胆管腫瘍
・ 胆管壁肥厚
・ 胆泥
・ 胆嚢気腫
・ 胆嚢結石
・ 胆嚢腫瘍
・ 胆嚢腫瘤
・ 胆嚢腺筋腫症
・ 胆嚢腫大
・ 胆嚢ポリープ
・ びまん性胆嚢壁肥厚
胆管および胆の所見においては「胆管結石」が発見されるケースが多いようです。ポリープ、腫瘍、結石など、形の上で変化のある病変の早期発見にはやはりエコー診断が欠かせません。
■ 膵臓
・ 膵萎縮
・ 膵管拡張
・ 膵腫瘍
・ 膵腫瘤
・ 膵嚢胞
・ 膵嚢胞性腫瘍
・ 膵の変形
・ 膵腫大
臓器の部位や形によって超音波が当たりにくい場所があり、すい臓はどうしてもエコー診断のムラが起きやすい臓器です。それでも、全体の大きさや炎症の有無などの判定に対しては役立つはず。
■ 腎臓
・ 腎血管筋脂肪腫
・ 腎腫瘍
・ 腎石灰化
・ 腎嚢胞
・ 腎嚢胞性腫瘍
・ 水腎症
・ 多発性嚢胞腎
沈黙の臓器「腎臓」は人間の生命活動の基幹を担う臓器と言っていいでしょう。
その役割の重要性に反して、腎臓は病変が起こってもなかなか自覚症状をもたらしません。エコー診断は病変の早期発見に欠かせない生命線のようなものです。
肝・胆・膵臓と同じように拡張や萎縮、結石とともに、血管障害や腫瘍についてもチェックします。
このほかに腹部大動脈の病変や、胸腔内の変異、脾臓、リンパ節なども視覚診断の範囲です。
腫瘍や肥大、萎縮はどこに現れても不思議はありませんが、小さなその兆しを見逃せば、多くはいずれ大きな障害として生命を脅かす症状に発展します。
人間ドックを予約する際には信頼を置ける医師のいる病院を選ぶようにして下さい。