高血圧とは?診断基準と要因・リスクについて

コラム

血圧は、日本人の生活習慣病死亡に大きな影響を与える要因の1つで、20歳以上の成人のおよそ2人に1人は高血圧があると言われています。
今回は、血圧とはそもそも何なのか、高血圧の診断基準、高血圧のリスク・予防のポイントについて解説します。

血圧の正常値

血圧とは、心臓から全身に送り出される血液が、血管の内側に与える圧力のことです。
心臓はポンプのように収縮と拡張を繰り返し、血液を全身に届けます。
心臓が収縮すると大量の血液が送り出され、血管に大きな圧力がかかります。これが収縮期血圧(最高血圧)です。
一方、心臓が拡張すると心臓からの血液の流出は止まり、血管にかかる圧力も弱くなります。これが拡張期血圧(最低血圧)です。

日本高血圧学会では、医療機関で測定した際、収縮期血圧が120mmHg未満かつ拡張期血圧が80mmHg未満(120/80mmHg未満)であれば正常値としています。自宅で測る家庭血圧の場合は、医療機関での基準よりも低い基準が用いられ(医療機関ではでは緊張などで通常よりも高い値が出てしまうケースがあるため)、収縮期血圧が115mmHg未満かつ拡張期血圧が75mmHg未満(115/75mmHg未満)とされています。

高血圧の診断基準

日本高血圧学会の高血圧診断基準では、医療機関での収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上(140/90mmHg以上)が高血圧です。家庭血圧の場合は、収縮期血圧が135mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上(135/85mmHg)以上です。

正常血圧と高血圧の間は正常高値血圧や高値血圧と呼ばれ、将来的に高血圧になりやすいと言われています。

血圧は常に変動しており、通常は朝の目覚めとともに上昇し、日中は高く、夜間・睡眠中に低下し、それを繰り返します。また、冬は夏より高くなります。

高血圧の要因とリスク

高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧の2種類があります。

● 本態性高血圧
原因が分からない高血圧のことを指し、日本人の高血圧のほとんどは、この「本態性高血圧」にあたります。
本態性高血圧は、遺伝的な因子や生活習慣などの環境因子(肥満、過剰な塩分摂取、過剰飲酒、喫煙、運動不足など)が関与しています。

● 二次性高血圧症
血圧上昇の原因となる病気がある場合の高血圧を、二次性高血圧と呼びます。原因疾患には、甲状腺や副腎の病気があります。

高血圧によるリスクとして、動脈硬化があります。高血圧が長期にわたると、血管は常に過剰な圧力を受け、その結果、血管の壁は次第に厚く・硬くなっていきます。動脈硬化は、体のすべての血管に起こりうるため、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、大動脈瘤、腎硬化症、眼底出血など全身の様々な病気の要因になってしまうのです。
また、心臓にも過度な負担がかかり、心臓肥大や心不全を引き起こす恐れもあります。

高血圧予防のポイント

高血圧の予防には、何よりもまず「減塩」を心がけることが大切です。
塩分は水分と結びつきやすい性質があるため、塩分摂取は体内の血液量増加につながります。これによって血圧が上昇するのです。

ポイントとしては、製造過程で多くの塩分が使われる加工食品の摂取を出来る限り減らすことです。また、普段の生活においてみそ汁や漬物を食べないようにするだけでも、塩分の摂取量が減ることが明らかになっています。

まとめ

高血圧は、脳梗塞や大動脈瘤など、命にかかわる重大な病気の要因となります。
自覚症状がほとんどないため、健診を受けることが極めて重要です。
また、健診で行われる心電図検査や眼底検査は、高血圧による長期の影響を示唆してくれるものでもあるため、これらの検査も必ず受けるようにしましょう。

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