睡眠と運動は認知症の予防になる!

コラム

 高齢化社会となっている現在の日本。4人に1人が65歳以上の高齢者と言われています。そんな中増加しているのがアルツハイマー病です。認知症にはアルツハイマー病のほかに脳血管性認知症、レビー小体型認知症がありますが、アルツハイマー病が認知症の70%を占めていると言われています。そのアルツハイマー病は睡眠と運動で予防できるということがわかってきました。ここでは、なぜ睡眠と運動がアルツハイマー病に効果的なのか紹介していきます。

アルツハイマー病とは

 アルツハイマー病は、進行性の認知症です。アルツハイマー病は、記憶をつかさどる脳の海馬という部分がダメージを受けます。そのため、初期症状として記憶障害がみられます。しかし加齢とともに誰でもこの経験はありますよね。この程度であれば日常生活に支障はないので、「軽度認知障害(MCI)」と呼ばれています。
しかし次第に判断機能や身体機能が低下していきます。こうなると、日常生活に支障をきたします。これがアルツハイマー病です。親しい人の名前を忘れたり、約束を忘れたり、日時や場所が分からなくなったり、最終的には人格が変わってしまったりすることもあります。問題となっているのが徘徊行動です。こうなると家族も面倒を見切れなくなってしまうということが多いです。

アルツハイマー病の原因と運動の関係

 アルツハイマー病の原因は、海馬の委縮や神経伝達組織の機能低下なのですが、これはベータアミロイドやタウというタンパク質が脳に蓄積したり、過剰なリン酸化を起こしたりすることで起こると言われています。しかしこれらの現象は運動をすることで予防できることがわかってきました。
運動をすると、βアミロイドを分解する酵素が活性化され、βアミロイドの蓄積を予防することができるのです。そして、筋肉細胞から放出されるホルモンが、脳の細胞死を抑制する神経栄養因子を増やしてくれることがわかったのです。つまり運動することで、海馬の神経細胞の活性化が期待でき、アルツハイマー病の予防につながるのです。

アルツハイマー病に効果的な運動

 アルツハイマー病の予防には、ウォーキングやサイクリング、軽いジョギングなどの有酸素運動が効果的とされています。強度の強いものではなく、強度は弱めで30分程度の運動を週3~4回程度おこなうと効果的とされています。これらの運動を半年から1年程度は運動を続けると効果が表れてきます。
ただ有酸素をするだけでなく、同時に脳に負荷をかけるとアルツハイマー病により効果的だとされています。ウォーキングをしながら100から3を引く簡単な計算をしたり、2~3人でしりとりをしながら歩いたりするとより効果が出ると言う結果があります。友人とおしゃべりしながらウォーキングしても楽しいですね。

アルツハイマー病と睡眠の関係

 先ほどアルツハイマー病の原因はベータアミロイドやタウというタンパク質が脳に蓄積したり、過剰なリン酸化を起こしたりすることで起こると説明しました。睡眠は、アルツハイマー病の原因となっているベータアミロイドを脳から排出するという役割があります。つまり睡眠不足が続くと、アルツハイマー病の原因であるベータアミロイドが蓄積されて、アルツハイマー病を引き起こす可能性が高くなってしまうのです。アメリカのワシントン大学の研究によると、睡眠不足の人は5倍以上も初期のアルツハイマー病になる可能性が高まるという結果も報告されています。
また、適度の昼寝もアルツハイマー病の予防に役立つことがわかっています。昼寝をすると、アルツハイマー病の発症リスクを5分の1に下げるという結果も報告されているのです。15分~20分程度昼寝を取り入れることがおすすめです。

まとめ

 ここまで、アルツハイマー病と運動・睡眠の関係を紹介してきました。睡眠と運動は研究結果でアルツハイマー病の予防になることが証明されています。自分自身の健康寿命を延ばすためと、家族に迷惑をかけないためにも、ぜひ睡眠と運動に気をつけてアルツハイマー病を予防したいですね!

関連記事一覧