甲状腺はどこにある?腫れる原因についても解説
「甲状腺」と耳にすることはあっても、どこにあってどんな働きをしているのか知らない方も多いと思います。
甲状腺は4~5cmほどしかない小さなものですが、私たちが生命活動をしていくうえで欠かせない臓器です。
こちらの記事では、甲状腺の位置や働き、甲状腺が腫れる原因についても解説しています。
甲状腺が腫れている気がするという方は、参考にご覧ください。
甲状腺はどこにある?
甲状腺は、首にある喉ぼとけのすぐ下の部分に、気管を取り囲むようにあります。蝶々が羽を広げたような形で、10~20gくらいの小さな臓器です。
皮膚のすぐ下にありますが、正常な甲状腺は柔らかく、触ってもあまりわかりません。
男性と女性では、女性の方が男性よりもやや高い位置にあります。これは、女性の方が男性よりも喉ぼとけの位置が高いからです。
甲状腺の働き
甲状腺の働きは、血液中に含まれるヨウ素を主な原料として甲状腺ホルモンを作ることです。
甲状腺ホルモンは体にとって欠かせないもので、以下のようなことに影響を与えます。
●体内でタンパク質を合成
●エネルギー代謝の維持促進
●皮膚の修復
●消化
甲状腺ホルモンの量は、多すぎても少なすぎても体に影響が出てしまいます。
甲状腺ホルモンが多い場合には、動悸・息切れ・手の震え・イライラ・などの症状があらわれます。
逆に甲状腺ホルモンが少ない場合には、疲労感・無気力・寒気・声がれなどの症状があらわれます。
甲状腺が腫れる原因は?
甲状腺が腫れる原因には以下のようなものがあります。
●バセドウ病
●橋本病
●甲状腺がん
●亜急性甲状腺炎
甲状腺の異常が疑われた場合には、血液検査や超音波検査が行われます。
バセドウ病
バセドウ病は、甲状腺ホルモンの量が過剰に分泌されることで起きる病気です。動悸や体重減少、指の震えなどが見られ、甲状腺も次第に大きく腫れていきます。
バセドウ病は完治することはありませんが、適切に治療をすることで、完治に近い状態を目指すことはできます。
橋本病は自己免疫疾患のひとつです。自己免疫疾患とは、体を守るため免疫機能が自分の臓器や細胞を攻撃してしまうことによって、臓器などが病気になることを言います。
橋本病になると、甲状腺が腫れて首に違和感や圧迫感が生じることも。さらに、疲労感・無気力・寝ても眠いなどの症状がみられます。
成人女性では10人に1人、成人男性では40人に1人の割合でみられますが、甲状腺機能が正常であれば原則、治療は必要としません。
甲状腺がん
甲状腺にできたしこりのうち、悪性のものが甲状腺がんです。しこり以外の自覚症状がなく、病状が進行してから、のどの違和感・声のかすれ・飲み込みにくさなどの症状があらわれます。
甲状腺がんには、乳頭がん、濾胞(ろほう)がん、低分化がん、髄様(ずいよう)がんがありますが、約90%を乳頭がんが占めています。
亜急性甲状腺炎
甲状腺内に炎症が起きることで、甲状腺の組織が壊れてしまう病気です。甲状腺が壊れることで、甲状腺の内部に貯められていた甲状腺ホルモンが血液の中に流れ出て、血液中の甲状腺ホルモンが増加してしまいます。
炎症によって甲状腺が腫れたり発熱したりする症状と、血液中の甲状腺ホルモンが増加したことにより動悸がする・汗をかきやすいなどの症状があります。
一般には自然に治りますが、症状が強い場合には治療が必要です。
まとめ
甲状腺には甲状腺ホルモンを作る働きがあり、エネルギー代謝や消化など、私たちの生命活動に大きく影響を与えています。
甲状腺が正常なときは触ってもどこにあるのかわかりにくいのですが、何らかの異常で腫れてしまった場合はすぐにわかります。もしも異常がある場合は、内分泌科や耳鼻咽喉科を早めに受診してみましょう。
特に、甲状腺がんでは、病状が進行するまでしこり以外、自覚症状がないことがほとんどです。
日頃からセルフチェックなどで甲状腺の腫れがないかを確認することで、早期に発見することができるでしょう。