もっと知ろう!ブレスト・アウェアネスと乳がん検診
『ブレスト・アウェアネス』という言葉をご存知でしょうか? 近年、乳がん予防におけるブレスト・アウェアネスの重要性が支持され関心が高まっています。今回は、乳がん検診におけるブレスト・アウェアネスの意義について解説します。
ブレスト・アウェアネスとは
ブレスト・アウェアネス(breast awareness)とは、日本語では『乳房を意識する生活習慣』と訳され、日頃から自分の乳房の状態に関心を持とう!という考え方です。乳がんは早期診断・早期治療により完治する可能性が高く、また、自分で触知可能な数少ないがんの1つです。そういった乳がん予防に必要不可欠なものとして提唱されているのがブレスト・アウェアネスなのです。ブレスト・アウェアネスは以下の4つの要素から成ります。
● 自分の乳房の状態を知る
しこりを探す、というこれまでの「自己触診」とは異なる。お風呂で体を洗いながらちょっと触ってみる、そして見た目や感触を覚えておくといったくらいの意識でOK。
● 乳房の変化に気を付ける
異常を探すというよりも、これまでには感じなかった変化に気付く、ということが大切。ただし、しこり、乳頭からの分泌物、乳頭乳輪部のただれ、皮膚のくぼみには注意が必要。
● 変化に気付いたらすぐに医師に相談する
変化に気付いた場合は、自己判断で先のばしにするといったことがないよう、すぐに医療機関を受診する。
● 40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける
2年に1回の受診間隔を守ってマンモグラフィを受けることの必要性を理解する。さらに、結果が「異常」であった場合には、必ず精密検査を受ける。
ブレスト・アウェアネスは「異常を見つけるためには、まず正常な状態を知らなければならない」という考えが基になっています。乳がんに限らず、キャンサー・アウェアネスとがん生存率との正の関連性は科学的に証明されています。
現在行われている乳がん検診
厚生労働省が指針で定めている乳がん検診の内容は以下のとおりです。
● 検査項目:問診およびマンモグラフィ
● 対象年齢:40 歳以上
● 受診間隔:2年に1回
乳がん検診においては、マンモグラフィと超音波検査のどちらを受けるべきか、という疑問が多く聞かれます。それぞれに長所・短所があり、一律にどちらが優れているとは言えません。ですが、乳がん検診は乳癌による死亡の減少を目的として行われています。統計学的に死亡率の低減効果が証明されているのはマンモグラフィのみであることから、マンモグラフィによる検診が指針として定められているのです。
ブレスト・アウェアネスが大切な理由
マンモグラフィと超音波検査にもそれぞれ長所・短所があるように、世の中には100%確実な検査はありません。ましてや一律に行われる乳がん検診が、万人にとって完璧な検査であるはずもありません。乳がん検診を受ける際、この点を心得ておくことは非常に大切です。
そして、こういった乳がん検診の欠点をカバーする簡単でかつ恐らく唯一の方法が、ブレスト・アウェアネスの実践なのです。検診を受けていれば乳がんにならないといったように盲目的に検診を信じることなく、普段から自分の乳房の状態に関心を持った行動をとりましょう。たとえ検診で異常なしと言われても、乳房の変化に気付いたら必ずすぐに医療機関を受診しましょう。ブレスト・アウェアネスは効率的かつ効果的な乳がん対策であり、義務教育の段階から広く国民に周知されるべきとの声が高まっています。
まとめ
ブレスト・アウェアネスに関して死亡率低減効果を示すエビデンスは存在しません。
ですが、万人にとって完璧な検査は存在しないという事実がある以上、乳がん予防におけるブレスト・アウェアネスの重要性に疑いの余地はありません。