五月病の正体とは?
例年、五月の連休明けに「倦怠感」「不眠」「不安・憂鬱」「集中力の低下」といった症状を訴える人が多くなります。こういった状態を俗に「五月病」と呼びます。
この病気の正体は何なのか、そして改善方法を紹介していきます。
五月病とは?
実は五月病という言葉自体は正式な医学用語ではありません。医学的には「適応障害」の状態と考えられているのです。
4月に新生活を始めた学生や職場環境の変わった社会人が、新たな環境にうまく適応することができないためにストレスを抱え、そのストレスがもとになって出てきた症状と言われています。うつ病との区別は難しくはありますが、適応障害の場合にはストレスの原因から離れると症状が急激に改善すると考えられています。
五月病になりやすい人は。こんな人が挙げられます。悩みなどを周りに相談せず一人で抱え込みやすい人。そもそもストレスに対処した経験に乏しい人。責任感が強く真面目で融通が利きにくい人。以上のタイプが五月病になりやすいと言われています。
放置するとうつ病リスクも
「ちょっと疲れがたまっているだけ」と、五月病を放置するとどのようなリスクがあるのでしょうか? 「五月病なんて職場に慣れてくれば自然と回復する」などと軽く見ていてはいけません。適切な対応を行わずに適応障害を放置すると、うつ病になってしまうことも少なくありません。適応障害と診断された方の40%以上が5年後にはうつ病と診断されているとのデータも出ているのです。
適応障害の状態でも判断力や能率は低下しますが、うつ病に移行するとそれが長期に渡ってしまいます。そうなると、一生付き合っていかないといけなくなります。
企業側にとっても、人手不足が叫ばれる今の時代、従業員の能力低下は企業にとっても大きな損失につながってしまうのです。
五月病の対策
ここからは、五月病の対策について紹介していきます。
一つ目は、よい意味での「いい加減さ」も必要ということです。
五月病になりやすい人の例として挙げた中でも見られるように、適応障害に陥りやすい人の中には真面目であるが故に物事の見方に柔軟性が欠けてしまい、ストレスを抱える人が多くいるのです。さらに変化の激しい現代においては思うように物事が進むことのほうが少なく、自分の中の「こうあるべき」という考え方に一致しないことに納得ができずストレスを抱えてしまうことも。
だからこそ、よい意味での「いい加減さ」のようなものも必要なのです。物事の様々な考え方や見方があることを知ることも良いかもしれませんね。
二つ目は、ストレスを自覚したら仕事から離れる時間を作るということです。
また、ストレスを自覚したら仕事から離れ、趣味や運動の時間を持つことや、十分な睡眠や休息を取ることもストレスの軽減に役立ちます。もちろんその間の経験する時間がもったいないという気持ちもわかりますが、仕事でより十分に能力を発揮したいのであれば思い切って休息を取ることも大切なのです。
まとめ
ここまで、五月病の症状や改善方法を紹介してきました。五月病の症状が長引いたり、対策をしても改善しなかったりする場合には、他の精神疾患だったり薬物療法を含めた医学的な介入が必要になることもあります。そうなると労務担当者は産業医に相談し、適切な専門家への受診が必要になる場合もあるので、辛い時はそのような対処をしてもよいでしょう。
五月病からくるうつ病は精神が弱いなどではなく、立派な病気なので、治療が必要です。長引くこともあるので、そうならないために症状の軽いうちから友人に相談することも良いですし、それができない場合は専門家を頼ってみることも考えてみてくださいね。