男女で異なるがんリスクと発症しやすい部位について

コラム

1980年以降日本人の死亡要因第一位を独走し続ける「悪性新生物」は、一般的に言う「がん」のことです。
「がん」という疾患は、発生する部位や性別による個人差が大きいという特性を持っています。性別、年代などによって罹患しやすいがんの種類が異なるので、「悪性新生物」に備えるには、まず自分がどのようなリスクを持っているのか把握しなければなりません。

男性がかかりやすいがん、女性に多いがんをご紹介します。ぜひ参考になさってください。

性別によって罹患率が異なる「がん」

・男性に多いがん順位上位5位
最新癌統計(2013年)によると、男性に多いがんのトップ5は「肺」「胃」「大腸」「肝臓」「膵臓」でした。2015年の癌統計予測値においてもトップ5は同様です。

・女性に多いがん順位上位5位
女性の場合は「大腸」「肺」「胃」「膵臓」「乳房」でした。男性同様、2015年の癌統計予測値でも同じ結果が示されています。

男女で異なるそれぞれのがん要因について


・男性に見るがんの原因
男性のみに発生するがんとして最大のものは「前立腺がん」です。これは女性にはない器官のため、男性しかかかりません。死亡ランキングトップ5には入っていませんが、年々罹患数が増えているがんです。前立腺がんの原因は「加齢」「男性ホルモン」「食生活」「遺伝子」などと考えられています。
実際に前立腺がんは高齢者に多発しています。
発がん性物質を体内に蓄積しないように心がけましょう。

・女性に見るがんの原因
こちらも女性特有のがんとして、トップ5からは漏れていますが多くの罹患数を記録している「子宮がん」が高リスクです。
子宮がんには「子宮頸がん」と「子宮体がん」があり、子宮頸がんについては「ヒトパピローマウィルス(HPV)」が主たる原因です。子宮体がんについては子宮頚がんより高年齢で起こるケースが多く、更年期特有の「女性ホルモンバランス」が大きな要因になっていると言われています。出産経験のない女性、日ごろから月経障害がある女性、また、なんらかの疾患で投薬治療を受けている女性は、さらにリスクが高くなるようです。

がんの検査について

・自覚症状がない場合は健康診断を
特定の疾患に関する調査ではなく、「健常であること」かどうかを確認するための検査です。血圧、尿、血液、胸部エックス線、心電図、視力、眼圧、眼底、肺機能などを調べます。ここで重要な手がかりとなるのが血液検査と問診です。

・異常が確認できたら人間ドック、がん検診へ
人間ドック、がん検診では目的に応じて検査項目を個人にフィッティングできます。
早期がんを発見するためには「PET(陽電子放射断層撮影)」や「マルチスライスCT」、が有効です。
「がん検診」はがんに特化した検査で、「胃」「肺」「大腸」「乳房」「子宮頸部」などの臓器別のコースがあります。
それぞれバリウム検査や超音波検査などが盛り込まれていますが、最終的には検体検査で確定します。

・男性の前立腺検査
人間ドックで男性向けに設定された前立腺検査では、PSAという前立腺の腫瘍マーカー検査があります。前立腺の炎症を調べるには非常に有用な検査です。直腸診を併用することをおすすめします。

・女性の子宮がん、乳がん検査
乳がんについては「マンモグラフィー(乳房エックス線撮影)を行いましょう。
他には「視診」「触診」「乳房超音波検査(エコー)」などが有効です。
子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)については「内診」「細胞診」を受ける必要があります。

年間で新たにがんを発見する人数はおよそ50万人。生存率を上げるには早期発見が欠かせません。少しでも数値に変化があれば、まずは人間ドック、あるいはがん検診を受けるようにしてください。

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