日本人の死因第一位である悪性新生物のトップは「肺がん」

コラム

1980年代から、日本政府が記録した日本人の死因は「悪性新生物」がトップを独走しています。
その傾向は2016年現在も変わりません。
「悪性新生物」には多様な種類があります。がんが発生する臓器ごとに治療方法などが異なるので、どの部位の「悪性新生物」が多いのか、これを把握しておく必要があるでしょう。

肺がんの発生割合と死亡率は?

・がん統計より
2011年度の肺がん罹患数は男性3位、女性4位、男女計3位でした。
2013年の死亡数順位では男性1位、女性2位、男女計1位という結果になりました。「悪性新生物」の中で、肺がんは罹患率に対して死亡率が非常に高いと考えられます。

・国立がん研究センターの2015年予測値
新たな罹患数98万人、死亡数37万人と予測されています。がんの種類別では大腸がんがトップで135,800人。肺がんが次点の133,500人。
死亡数は肺がんが77,200人で、大腸がんが50,600人と予測されます。
肺がん治療は、回復の見込みがあれば手術を行うのが一般的です。病期が進行すれば緩和ケアしか選べないので、治療には絶対に早期発見が必要なのです。

肺がん治療は手術が主流

・肺がん治療
肺がんの病期は「IA」「IIA」「IB」「IIB」「IIIA」「IIIB」「IV」に分かれています。
「IA」「IIA」「IB」「IIB」までは手術と放射線治療。
「IIIA」は手術、放射線治療、抗がん剤治療が用いられ、時には同時に複合的な治療を施します。
「IIIB」は放射線治療と抗がん剤治療のいずれか、もしくは双方が行われます。
「IV」に至ると抗がん剤治療と緩和ケアが主な選択肢です。
手術療法を用いる場合は執刀医の技量によって5年生存率が大きく左右されるので、治療に適した病院選びも重要なカギとなるでしょう。

・肺がんの検査方法
肺がんの治療には早期発見が欠かせません。初期で発見するには検査が必要です。肺がんの発見に役立つ検査項目は以下の通りです。

・最初に行う検査
問診やエックス線検査、喀痰細胞診、血液検査(腫瘍マーカー)などが肺がん検査の初手に行われます

・次の段階で行う検査
CT検査でがんであるかどうか鑑別し、次に気管支鏡検査、腹腔鏡検査、経皮肺生検で肺がんであると確定します
健康診断でカバーされるのは問診、エックス線検査、血液検査までです。血液検査も一般的な範囲内では各臓器の数値を確認するところまでというケースが多く、残りの検査項目についてはがん検診や人間ドックで受けることになります。

人間ドックで行う肺がん検査について

・喀痰検査
痰を採取して、気管支からの分泌物を調べます。肺がんだとしてもこの検査に引っ掛かるとは限りませんが、検査項目としては手軽で、患者の負担がないために徴用されています。

・FDG-PET検査
体内にFDGという放射性物質を注射し、がん細胞の有無を確認する検査です。

・胸部CT検査
いわゆる輪切りの断層画像です。初期の肺がんの多くが胸部CT検査で発見されています。正確な位置の確定まで可能です。

・内視鏡検査および細胞診
気管支の内視鏡は「気管支鏡」と言います。これで肺がんの疑いがある部位から細胞を採取し、確定診断を行います。

日本人に肺がんが多い理由として、喫煙率が問題視されています。現在は喫煙率が低下していますが、喫煙してすぐに肺がんになるのではなく、喫煙から30年、40年を経てがんを発症する傾向が強いようです。
喫煙歴のある方はみなリスクを負っていると考えていいでしょう。

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