日本人の命を脅かす……死因第2位「心疾患」の種類とは?

コラム

2015年の厚生労働省による人口動態調査から、日本人の主要な死因の変遷が分かります。1980年以降続く悪性新生物(がん)による死亡数の上昇は相変わらず継続しているのですが、一方でリスクが高くなっていると指摘される「心疾患」の数字も気になるところ。
悪性新生物による死亡数37万人に対して、心疾患が第2位で19万9000人でした。
悪性新生物と比較すれば少ないように感じるかもしれませんが、365日で日割りにするとなんと1日当たり545人の日本人が心疾患によって命を失っている計算です。
心疾患にどのような種類があるのかご紹介しますので、ぜひご自分の健康状態確認の参考になさってください。

心疾患の主な種類


・虚血性心疾患
「狭心症」や「心筋梗塞」のことです。日本人の突然死は6割が「狭心症」「急性心筋梗塞」「不整脈」で占められています。
虚血性心疾患は冠状動脈に狭窄や閉塞が起きて心筋に血液が供給されなくなり、最悪の場合は壊死に至る疾患です。多くは徐々に進行して酸素や栄養素の欠乏が起こり、心筋の活動が低下していきます。
狭心症も心筋梗塞も胸部の違和感や痛みが起こりますが、狭心症の場合は安静にしていると短時間で不快感が軽快し、心筋梗塞の場合は安静時でも痛みが起こるので、症状を鑑別する参考になさってください。
多くは動脈硬化と併合して起こります。

・心筋症
「肥大型心筋症」「拡張型心筋症」の2種類があります。肥大型では心筋が肥厚して機能が低下し、拡張型では心臓内腔が拡張して心筋が薄くなり、機能が低下します。
いずれも最終的には心不全に到達する疾患で、基本は薬剤療法です。ただし、重症化すれば移植が必要になるでしょう。

・心筋炎
感染性の心疾患です。かぜ、インフルエンザなどのウィルスが心筋に到達するケースがあり、その場合は心不全を引き起こします。急激に悪化して突発性の心不全に至ることもあるので、感染性の予備疾患がある方には注意が必要です。

・心臓弁膜症
心臓のポンプ機能を支える4つの弁膜に起こる病気で、「閉鎖不全症」と「狭窄症」の2種類があります。
正常に血液を送り出せなくなり、循環が滞るようになるうえ、静脈へ流れるべき血液の逆流も起こるでしょう。心不全に至る病気です。

・不整脈
心臓の脈拍が安定しない状態は基本的に全て不整脈だと思っていいでしょう。脈が多すぎても少なすぎても正常の範囲外ですし、また、脈拍が不規則であり、早くなったり遅くなったり、あるいは消失を繰り返すようであれば、かなり危険性の高い状態だと認識してください。
原因は心臓の異常であることもあれば、栄養失調や精神疾患、ホルモン異常、自律神経失調症などさまざま。多角的に可能性を検討する必要があります。

・先天性心疾患
「心室中隔欠損症」が比較的よく知られています。先天性心疾患は生まれた時から心臓に欠損や変形があって、正常な血流を望めない病気です。

心疾患の検査

・健康診断で実施する心疾患関連の検査
健康診断では血圧測定や心電図などの検査を行います。ここで正常値を逸脱していれば、より詳細な検査へと移行します。
健康診断ではこの2つと問診が基本項目の範囲なので、心疾患を確定するには人間ドックで精密検査を受けることをおすすめします。

・人間ドックの心疾患検査
心電図、運動負荷心電図、ホルター心電図、心臓超音波、胸部CT、胸部MRI、心臓カテーテル検査などを行います。人間ドックならではのこれらの検査項目について、それぞれ確認できる心疾患の種類は以下の通りです。

  運動負荷心電図:狭心症、心筋梗塞、心臓肥大、不整脈
  ホルター心電図:狭心症、心筋梗塞、不整脈
  心臓超音波:心筋梗塞、心臓肥大、心不全、不整脈
  胸部CT:狭心症、心筋梗塞、心臓肥大、大動脈瘤
  胸部MRI:狭心症、心筋梗塞、心臓肥大、大動脈瘤
  心臓カテーテル検査:狭心症、心筋梗塞、不整脈
  ※心臓カテーテル検査については検査と同時に処置もできます

心臓の状態を精密に確認するためには、心臓の動きを見る心電図と、超音波などの画像診断を組み合わせなければなりません。できれば入院して、ある程度時間をかけて動きや状態を確認するべきです。検査項目は医師と相談して決めるようにしましょう。

関連記事一覧