生命の危機をもたらす「睡眠時無呼吸症候群」の症状と検査

コラム

生命の危機をもたらす「睡眠時無呼吸症候群」の症状と検査定義的には病気に含まれない症状が連鎖的に発生したものを、一般に「症候群」と呼びます。
それそのものは病気ではないとしても、原因を調べた結果重大な疾患が発見されるケースは少なくありません。
「睡眠時無呼吸症候群」もそうした症状のひとつで、特に働き盛りの世代で危険視されるようになっています。突然死など取り返しのつかない結果につながりうるので、もしもこれからご紹介するサインや関連疾患に心当たりがある方はぜひ病院で人間ドックを受診するようにしていただきたいと思います。

睡眠時無呼吸症候群の症状と原因

・睡眠時無呼吸症候群の症状
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」とは一度に10秒以上の無呼吸状態が断続的に起こる症状の名称です。重度になると循環器系の病気を高頻度で併発すると言われています。
定義的には1時間当たり5回無呼吸になれば「睡眠儒無呼吸症候群」と診断されます。このように診断基準は明確になっていますが、残念ながら睡眠中に起こる症状であるため無自覚の潜在患者がどれだけいるか、実数の把握は出来ていません。
ただし、循環器系の診療ガイドラインによって「睡眠時無呼吸症候群」と「高血圧」「心臓病」「糖尿病」「脳卒中」との因果関係が認められました。それらの領域に睡眠時無呼吸症候群の患者が潜んでいると考えれば、どれだけ潜在患者のすそ野が広がっているかご想像いただけるのではないでしょうか。

・睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群を発症する方の多くは自発呼吸の機能を保持しています。しかしながら睡眠中には無呼吸の発現が確認されており、詳細なメカニズムはいまだ研究の途上です。
診断と治療に際しては発生機序を個別に精査して判定します。その上で、「閉そく性睡眠時無呼吸(OSA)」と「中枢性睡眠時無呼吸(CSA)」に振り分けられることになるでしょう。
閉そく性タイプの無呼吸は肥満や扁桃肥大などの形質的要因による直接的な気道閉そくです。これが大部分の患者に該当しますが、脳の呼吸中枢に異常が見つかるケースも数%ほどの割合で存在するそうです。

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合の検査と治療

・人間ドックで受けられる専用の検査項目
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に限って症状が発生する特性から、基本的には検査入院が必要です。つまり、通常の健康診断や定期検診の枠に「睡眠時無呼吸症候群」の検査は入りません。人間ドックで個別の項目を組み合わせるか、呼吸機能の検査に特化したコースを受けるようにしましょう。

人間ドックで受けられる当該の検査項目は以下の通りです。
・睡眠中の呼吸量
・睡眠中の血中酸素飽和度の記録
・呼吸機能の確認
・筋電図
・眼電図
・心電図
・いびきの鑑別

一晩かけて取ったこれらの記録と医師による所見を合わせると、睡眠の質や、気道の状態、呼吸機能の状態なども判定できます。総称して「終夜睡眠ポリグラフ」と呼びますが、検査を受ける病院によって使用する機器の種類が変わってくる点は留意しておいてください。問診では「日中の眠気」「だるさ」「倦怠感」などが重要な手がかりになります。

・治療方針の決定まで
人間ドックで行う睡眠儒無呼吸症候群の検査は治療方針の決定までつながっていきます。まず問診から始まり、簡易検査、確定診断、治療方針の決定、治療開始という流れです。この中で人間ドックはステップ3にあたり、治療の前段階というよりはもはや治療の一環と考えていいでしょう。「ほぼ睡眠時無呼吸症候群に間違いない」と分かってから実施する検査なのです。
睡眠時無呼吸症候群に由来する循環器系の病気が起こってしまっているならば、呼吸と睡眠の質を対症的に改善していく治療と病気の治療を同時に進めることになります。また、脳の呼吸中枢に異常があった場合には、そちらの治療へと進むことになります。

生命の危機をもたらす「睡眠時無呼吸症候群」の症状と検査
いずれの原因であるにせよ、睡眠時無呼吸症候群の治療は長丁場です。生活習慣の改善やいびきの軽減など、指導される内容は日常の細かい部分に入り込んできます。医師としっかり相談して治療に向き合うようにしてください。

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