日本人のリスクが増えていると言われる「すい臓がん」とCT検査
すい臓がんは1980年代以降、日本人の罹患率がどんどん高くなっている危険な病気です。生存率の低さ、発見の難しさ、治療の難しさから、「がん」という病気のなかでも特に警戒するべきであるといわれています。
すい臓がんは2016年の1年間で33,475名の日本人の命を奪いました。
1979年の記録は7,210名となっていますから、この40年弱の間にすい臓がんによる死者は4倍以上に上り、5倍に近づいていることが分かります。
早期発見が困難とされるすい臓がん。すい臓の健康状態を確認し、がんリスクを管理するにはどのような検査が必要なのでしょうか。
すい臓がんはどうして起こる?
すい臓という臓器
すい臓という臓器はインスリンを作る消化器系の役割と、内分泌器官としてホルモン物質を製造する役割があります。そのため、すい臓に発生したがんは分泌物にのって遠隔した器官へも転移しやすく、さらに周辺の臓器に「浸潤」するので非常に危険なのです。
すい臓がんの罹患者数と死亡者数はほぼ同じで、がんの中でも生存率は最低の部類に入ります。
すい臓がんの原因
日本人のすい臓がん罹患率は戦後に増加し、昭和後期に西洋並みになりました。すい臓がんの危険因子は喫煙や遺伝、糖尿病などがピックアップされていますが、「西洋化された現代生活のすべて」にリスクが潜んでいる可能性があります。なお、近親者にすい臓がんを発症した方がいる場合、遺伝的なすい臓がんの因子をかなりの割合で受け継いでいると考えられます。定期的にすい臓がんの検査を受けることをおすすめします。なお、急に糖尿病になったという場合にも注意が必要です。すい臓がんと糖尿病には相互の関連性があるので、急な発病、急な悪化にはすい臓がんの発症が関与しているかもしれません。
すい臓がんの検査を受けよう
どんな検査が有効?
すい臓がんの検査には「腫瘍マーカー」「腹部CT検査」「MRI検査(MRCP検査)」「腹部超音波検査」が有効です。特に造影剤を用いたCT検査(造影CT)はすい臓がんの診断に有用とされているので、健康診断などで異変を指摘された場合には積極的に受診するといいでしょう。ただし、治療開始には確定診断が必要です。現在、確定診断を担う病理医は人数が不足しているので、通常は数週間待ちになってしまいます。すい臓がんの疑いがあり、早期治療開始を望む方は、人間ドックで検査をセット受診なさることをおすすめします。
すい臓がんの検査は人間ドックで!
全額自己負担の場合、単純なCT検査だけでも費用は2万円程度かかってしまいます。造影CT検査なら単独でも3万円から4万円。MRI検査なら2万円から3万円、造影MRI検査なら3万円から4万円。超音波検査、精密な血液検査、その後の検体検査や、度重なる通院費用、時間的負担は膨大なものになるでしょう。そこで、すべてを1日で受診できる人間ドックの利用を検討していただきたいのです。
人間ドックは医師と利用者本人の希望にそって検査項目を組み合わせ、セット費用で比較的お得に病院の検査を受けられます。また、確定診断までの検査の間に組織採取の必要性を判断し、確定診断を実施するかどうかも決められます。
基本的な検査、高度な検査、確定診断を一連の流れのままに受け、そのまま治療に進めるのは人間ドックならではのメリットです。検査の待ち時間が数週間におよぶと病気はその間に進行しますので、リスクを自覚している方はぜひ人間ドックですい臓がんをチェックするようにしてください。