胆管閉塞で何が起こる? 人間ドックで受けたいMRCP
人の身体は「臓器」で形成されています。例えば手で触れることができる「皮膚」も臓器のひとつ。すべての臓器がつながり、滞りなく連携することで「健康」が成立します。
逆に言えば、どこかでつながりが途切れたり、臓器と臓器をつなぐ「管(くだ)」が閉塞したりすれば健康は失われてしまうということです。
例えば肝臓と他の消化器をつなぐ「胆管」が閉塞したら何が起こるのでしょうか?
胆管の役割と病気
・胆管の役割
胆管は肝臓と十二指腸をつなぐ「道」です。肝臓内部を縦横無尽に走って胆汁を集積し、胆嚢でいったん貯留して必要に応じて十二指腸に放出するのです。
肝臓内部の胆管と肝臓外部の胆管の端まで、それから胆嚢を合わせて「胆道」と呼びます。
肝臓で作られた胆汁を通す道なので「胆道」というわけです。
胆汁は飲食物の消化吸収に欠かせない成分です。
・胆管閉塞で起こる病気
胆管閉塞が起こると身体の状態は急激に悪化します。
胆管閉塞を招く病気は胆管結石、胆管がん、胆道閉鎖症などで、これらの病気はさらに別の病気を引き起こすので必ず治療が必要です。
胆汁が排泄されないために肝臓が炎症を起こし、肝硬変、重篤な場合は肝不全へと進展します。
いったん肝臓の機能が失われれば治療法は移植しかなくなるので、胆管の状態は定期的に検査を受けて病気を早期発見できる体制を作っておくことをおすすめします。
胆管閉塞は検査で予測しよう
・胆管の状態を調べるMRCP
「MRCP」という検査があります。あまりなじみがないと思われる方が多いかもしれませんが、胆管結石について調べる際には血液検査や内視鏡とともに行われる画像診断法として医師からの信頼を集めています。
画像診断法には「腹部超音波検査」や「CT検査」など「MRCP」に先立って選ばれるものもありますが、「MRCP」は磁気共鳴を利用した検査法であり、胆道の内部にどれだけ胆汁が閉じ込められているか、また、周囲に滲出(しんしゅつ)しているかどうかを調べられる点が特徴です。
さらには検査を受ける方へ痛みを与えず、体力を損なうことなく診断できるため、近年では内視鏡よりはるかに利用頻度が高くなっています。
・MRCPは人間ドックで受けよう!
「MRCP」は胆管の状態を詳細に確認するための検査です。専門の設備を備えた病院に行かなければ受けられない高度な検査ですから、費用も単独で3万円から5万円とかなり高額になります。
病気の可能性が高い場合には他の画像検査や、最終的には検体検査まで行うことになるでしょう。そうすると、単純に考えても総額は10万円を超える試算になります。
しかもそれぞれの検査を単独で予約し、受診するとしたら待ち時間や通院の手間は膨大なものになるはず。
人間ドックは個人に合わせて検査項目を組み合わせ、一度に受けられる唯一の方法です。
費用も比較的有利な設定になるので、肝臓、胆嚢、胆管、すい臓、膵管などの臓器に不安がある方はご利用を検討なさってください。
何度も通院する手間を惜しいと感じる方は多いでしょう。時間的負担、費用の上限のご希望と合わせて医師に相談してみることをおすすめします。