すい管が腫瘍に巻き込まれると何が起こるのか

コラム

すい管が腫瘍に巻き込まれると何が起こるのか国立がん研究センターによるがん統計では、2013年に新たにがんを発症した日本人は86万2,452人に達しています。
そして、2016年にがんで亡くなった日本人は37万2,986人。日本人の死因ランキングではトップを独走中です。
さらにがん統計は恐ろしい将来を映し出します。
現代において日本人ひとりが一生のうち何らかのがんを発症する確率は男性が62%で女性が46%、人数当たりにすると2人に1人が何らかのがんになるというわけです。
なかでも死亡率が高いすい管がんには注意していただきたいと思います。

すい臓がんの多くはすい管から発する

・すい臓がんとすい管がん

すい臓という臓器はホルモン物質を製造する内分泌機能と、すい液という消化液を製造する外分泌機能を同時に果たす重要な器官です。
しかし、すい管が腫瘍に巻き込まれるとそれらの物質がすい臓内に貯蓄されるため、すい臓の慢性的な炎症を引き起こします。

すい管からの腫瘍の拡大ですい臓がんが進展する可能性、さらにはすい管閉塞による慢性すい炎からのすい臓がんに進展する可能性、双方に備えるようにしましょう。
すい管が腫瘍で閉塞すると糖尿病や黄疸などが起こります。
既往症で糖尿病がある方については、その急激な悪化がすい管・すい臓がんのサインとなることがあるので心に留めておいていただきたいところです。

・罹患率と死亡率の話

すい臓がんのうち90%がすい管に端を発するがんだとされています。新たに発症するすい臓がん患者の割合は、がん全体から見ると決して高くありません。
すい臓がんの生涯罹患率は男女ともに2%で、全がんの10%にも満たない数値です。それにも関わらずがん死亡者数では年間で男女計第4位を記録しています。
発見の難しさから罹患率が徐々に上がっており、治療の難しさから死亡率が高くなっているため、警戒が呼びかけられているがんです。

すい管がんを早期発見する

胆管の役割と病気

・受けるべき検査

すい管がんは放置すれば確実にすい臓全体に広がり、命を奪います。
残念ながらがん検診の指針ではすい臓がん、すい管がんについては検査の基準が定められていません。つまり、それほど発見が困難で、「これ」といった症状のサインなどがないということです。

すい管がん、すい臓がんの早期発見には定期的にすい管、すい臓に的を絞った画像検査を受けることをおすすめします。
受診する方にメリットが大きな検査項目としては「MRCP」があります。MRCPは磁気共鳴を利用したMRIという画像検査の一種です。
滞留したすい液などの液体を強調画像で診断できるので、造影剤を用いた内視鏡検査などに比べると身体的負担はほぼ皆無といっていいでしょう。

・検査を受けるなら人間ドックがおすすめ

繰り返しになりますが、「MRCP」という検査は身体的負担がほぼありません。すい管やすい臓、胆管などの状態が気になる方は定期的に検査を繰り返さなければならないので、負担軽減は必須条件です。
すい管およびすい臓がんに対する定期健診で「MRCP」は重用される検査項目となっています。
ただし、糖尿病や黄疸などですい臓に不安がある方、あるいは、別の病気の不安もある方に対してはこの検査単独というわけにはいかないので、必要に応じて確定診断までセットで受けられる「人間ドック」という方法をおすすめします。 通常の検査はひとつひとつを単独で予約し、その都度通院しなければなりません。
検査の順番待ちで数週間を過ごさなければならないケースもあるので、一度に必要な検査をすべて受けられる人間ドックは非常にメリットが大きな仕組みというわけです。
未経験の方はぜひお近くの病院で相談してみてください。

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