動脈硬化のチェックは頸動脈で? 超音波検査のメリット
日本人は、世界でもまれにみるほど認知症の発症割合が高いと言われています。
OECD(経済協力開発機構)によると、2017年における主要35カ国の有病率平均は人口対1.48%でしたが、日本はこれを大きく上回る2.33%とのこと。
日本国内の統計でも高齢者の4人に1人が認知症、あるいは認知症予備軍とされており、平均寿命の延伸と同時にさらにひとりひとりの認知症リスクは高くなっていっていると認識するべき状況です。
認知症を発症すれば自立生活は難しくなります。ではどのようにして認知症リスクを管理すればいいのでしょうか。
血管疾患と認知症の関係
・認知症発症のきっかけとなる血管疾患
認知症は脳の障害によって物忘れが激しくなったり、正しく認識できなくなったりと、精神活動や身体活動に支障をきたす状態と定義されています。6か月以上症状が継続するようであれば、行政上でも認知症と認められて支援の対象になります。
現在、日本人のなかで「要介護」「要支援」の認定を受ける理由として「認知症」は第2位の15.8%を占めているうえ、第1位は血管疾患そのものである「脳血管疾患」なのです。
脳血管疾患による高い致死性や、脳血管疾患をきっかけとした認知症の非常に高い発症率を考えれば、いかに血管の健康管理が重要かは明白です。
・動脈硬化は頸動脈でチェックできる
血管疾患は循環器系の病気で、病名としては動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、脳梗塞などが有名です。
多くは大きな血管で血の塊が生じ、血流に乗って移動した先で細い血管をふさぐ血栓症へと発展します。プラークが生じている段階が動脈硬化なので、どこまで動脈硬化が進んでいるか定期的にチェックするようにしましょう。
■動脈硬化の検査と人間ドック
・全身の血管状態を測る頸動脈エコー
血管は網の目のように全身をつないでいます。
全身の血管がどのように動いているか、また、変形していないかなどを同時に観察することはできないので、動脈瘤ができやすい頸動脈の検査で全身状態を推し量る「頸動脈超音波検査(頸動脈エコー)」を利用するのが一般的です。
頸動脈エコーは超音波を発する端子(プローブ)を頸部に押し当て、血管をリアルタイムで画像化して形状や動きを観察する検査です。
・リスク管理には全身の健康管理が大事!
エコー検査は頸動脈だけでなく心臓や下肢でも利用できる、非侵襲性の人気が高い検査です。
しかし、全身の健康状態を総合的に判断するには他の検査も必要になります。
ひとつひとつの検査を単独で受けると費用が高くなりますから、最初に費用をある程度設定し、その範囲内で希望する検査を組み合わせられる「人間ドック」での受診をおすすめします。
循環器科がお近くにない場合でも設備さえあれば基本的に人間ドックは実施できるので、人間ドックを受けたことがない方は、まずはお近くの医療機関で相談してみてください。