指定難病「胆道閉鎖症」とは? 実は多かった日本人罹患率
日本で指定難病となっている「胆道閉鎖症」という病気をご存知でしょうか?
胆道閉鎖症は文字通り「胆道」が閉塞してしまう病気で、風邪やインフルエンザのような知名度がないため発見には予備知識が必要です。
胆汁の通り道である胆道が閉鎖する、だれでも「何かすごく悪いことが起こっている」と想像できるのではないでしょうか。
胆道閉鎖症は命の危険を伴う非常に危険な病気です。原因や日本人罹患率、注意すべき人物の特徴をご紹介しますので、出産を控えた妊婦の方、また、そのご家族の方、小さな赤ちゃんがいるご家族のみなさまには特に参考にしていただきたいと思います。
胆道閉鎖症と日本人
・胆道閉鎖症は女児に多い先天性小児外科疾患
胆道閉鎖症という病気は新生児が母親の胎内にいる間に起こると考えられています。
まだ詳細な原因については研究の途上にありますが、もともと臓器の形成がうまくいかなかったわけではなく、いったん正しく形成されたのちにウィルス感染などで胆管機能が損なわれるものという説が支持されています。
胆道閉鎖症は胆管が機能しない状態ということで、外科的手術で胆汁の通り道を確保する対症療法がまず行われます。
ただし、胆汁が流れるようになっても徐々に肝硬変が進行するケースが多いので、いずれの治療法を取るにせよ胆道閉鎖症では一生涯を病院と連携して生きていくことを覚悟なさってください。
・日本人の罹患率
胆道閉鎖症の患者は日本全国でおよそ3,500名いるというデータがあります。
かつては新生児1万人に対して1人とされていましたが、実際にはそれより多かったということになります。
男女比は男性0.6に対して女性が1という罹患率です。
このうち1,500名は成人に達しており、対症療法でもある程度対応できることが分かっています。
ただし、50%以上の確率で成人までに肝移植が必要になると言われているので、胆道閉鎖症が判明した方とそのご家族には最終的な肝移植に向けた体制作りをおすすめします。
体への負担が少ない検査方法と検査の受け方
・磁気共鳴を利用した画像検査「MRI」のひとつ「MRCP」
病気を発症する年齢が低い病気ですから、検査方法はなるべく体への負担が少ないものを選ぶべきです。
胆道閉鎖症は合併症を伴う割合が低いですが、まれに胆石がある場合や、すでに肝臓などの炎症症状を起こしている可能性を考えると、直接内視鏡検査などよりも「非侵襲性」の検査が適しています。
磁気共鳴を利用した「MRI」という画像検査があるのですが、その一種に「MRCP」があります。
「MRCP」は胆管や膵管に焦点を絞った高度な画像診断法で、血管内に造影剤を投与したり、内視鏡を挿入したりせずに造影検査ができるため重用されている検査です。
ただし、単独でこの検査を受けると自費の場合単独で3万円から5万円という費用になるので、受ける際には確定診断から治療開始までセットにできる「人間ドック」という形で相談してみるといいでしょう。
・人間ドックであらゆる負担を軽減できる
人間ドックは成人向けと思われる方が多いかもしれません。しかし、実際には希望する人や必要だと思われる人すべてに適用される、検査のパックコースのようなものなのです。
血液検査や身体測定といったごく基礎的な検査から、MRCPやCTスキャンのように高度な画像検査、そして確定診断までを一連の流れで受けられるのは人間ドックならではの特権です。
総合的な費用を抑えられること、待ち時間、通院の負担をこれでクリアできることなどから、検査を受けるご本人やご家族にはメリットが大きな仕組みと言えます。
胆道閉鎖症は遺伝との因果関係を認められていません。
とはいえ親に胆道閉鎖症が見られるケースでは通常よりも発症率が高いと指摘する声も上がっており、何らかの素因が遺伝的に働いているのではという見解もあります。
胆道疾患を抱えて妊娠している方、またそのご家族は、ぜひ「胆道閉鎖症」という病気とその検査方法、人間ドックという方法があることを念頭に置いて新しい命に向き合うようになさってください。